台湾の学食事情 大学キャンパスに外食チェーン
台湾でも大学が、キャンパス内の学食の経営を外食チェーンなどに委託するケースが増えているという話題です。
師範大学、台湾大学などでは、食堂、カフェ、書店などが一体となった複合施設として運営を大手チェーンに委託。
輔仁大学の学食には、日本食のほか、韓国・タイ・イタリアなど各国の料理が揃う充実ぶり。
大学のキャンパス内への出店は、学生が利用するため安定した収益が見込める反面、夏休み・冬休みの長期休暇になると売り上げが下がるデメリットがあります。それでも、商店街に比べると、大学内は賃料が安いので割りが合うとのこと。
学食がきれいになって、メニューも豊富になることで、学生の満足度は向上するものの、外食チェーンを入れることで、ファーストフードのように栄養が偏って、学生の健康面に及ぼす影響も懸念されています。
「不少大學內的餐廳近年跳脫過往的刻板印象,不再僅供『吃的飽』,主打『燈光美、氣氛佳』,菜單也多元,讓大學餐廳變成美食戰場。」
(多くの大学内の学食が、近年、かつてのステレオタイプから脱け出している。ただ「おなかいっぱい食べられる」だけではなく、「照明がきれいで、雰囲気もすてき」をウリにして、メニューも豊富になり、大学の食堂をグルメの激戦区へと変貌させた)
「刻板印象」(kè bǎn yìn xiàng) は「板に刻まれたイメージ」ということですが、つまり大半の人が持っている固定観念、ステレオタイプのことです。
「吃的飽」は記事原文のままなのですが、正しくは「吃得飽」と書きます。ただ台湾人でも「的」と「得」(および「地」)の書き分け・使い分けができない人は多いので、試験でなければそこまで厳密に書き分けなくてもいいかもしれません。
「吃得飽」は「食べて満腹になることができる」という意味で、似た言い方ですが「吃到飽」(満腹まで食べる=食べ放題)とは違います。
「主打」(zhǔ dǎ) は、人気のある・売れそうなものを前面に打ち出すこと。歌手の CD に収録されている曲で、人気のある曲を「主打歌」と言ったりします。
「很多人對大學餐廳的印象,停留在多半為自助餐或麵點、便當;但如今許多大學的餐廳裝潢翻新,餐飲也琳琅滿目,不但有各式麵飯、還可吃到異國料理」
(多くの人が大学の食堂に対して持っている印象の大半が、セルフサービス式や、菓子パン・弁当といったところで止まっている。しかし今日日、多くの大学の食堂は装いを新たにし、食べ物も飲み物も目移りするほど。麺・飯だけでなく、外国のエスニック料理まで食べることができる。)
「自助餐」(zì zhù cān) は、自分でお好みのものを選ぶブッフェ形式のこと。
例えば、コースの決まったパックツアーではなく、自分でホテルや航空券を取る旅行を「自主旅遊」と言います。
「琳琅滿目」(lín láng mǎn mù) は、「珍貴なものが見渡す限りある」という意味の成語(四字熟語)です。
「擁有3萬多名學生的台大,目前為學生飲食安全出國取經,參訪美國南加州大學和加州大學洛杉磯校區,發現國外校園提供的餐點,並不如想像中都是漢堡、薯條,反而有許多蔬食類選擇,甚至提供全素、半素、內用、外帶及DIY專區等。」
(3万人以上の学生を擁する台湾大学は、学生の食の安全のため海外取材し、アメリカの南カリフォルニア大学とカリフォルニア州立大学LA校を訪問。海外のキャンパスで提供されている食事は、想像していたようなハンバーガーとフライドポテトといったものとはまったく違って、たくさんの野菜類を選べて、ビーガン食やテイクアウト、DIY まで提供している。)
「出國取經」は、海外渡航して先進の技術や知識を仕入れてくることですが、もともとは、インドまで仏教の経典を取りに行く = 取經 (qǔ jīng) ことに由来するそうです。まさに「西遊記」の三蔵法師ですね。
「全素、半素」は、肉などを含まない「素食」のこと。厳格な素食主義者だと、植物性であっても、ニンニクやネギ、ニラなどすら禁忌なので、そういった材料を一切含まないものを「全素」(quán sù) と呼びます。
DIY は "Do It Yourself" の略で「自分の手で作る」ということですが、学食が「DIY 式」だというのは、キッチンがあって自分で料理を作ることなのか、記事からだとよくわかりません。
「台大說,例如讓炸薯條不見了、沙拉碗加大、主餐盤從8寸縮減為6寸,漢堡變小等,醬料也用自製的堅果醬和果醬等,飲料則是現打的天然果汁」
(台湾大学は言う。たとえばフライドポテトはなくし、サラダボウルを大きくして、メインディッシュの皿は8インチから6インチに縮める。ハンバーガーのサイズも小さくする。ジャムも自家製にして、飲料もその場で絞った果汁にする。)
「不見了」(bù jiàn le) は、会わない・見えない、ではなく「なくなった」ということ。
「鼓勵學生不用托盤,避免取餐過量、減少廚餘、達到省電省水,每天看板都會有當日菜單、食物與營養成分,連產地都全面透明化。」
(学生にトレイを使わせないようにすることで、盛り付けすぎをなくし、残飯を減らし、電気・水道の節約を達成した。毎日、ディスプレイには、当日のメニューや栄養価、さらに産地までも全て表示する透明化を進めた。)
「鼓勵」(gǔ lì) は、奨励すること。落ち込んでいる人を「励ます」というときにも使えます。
「避免〜」(bì miǎn) は、「(〜のような事態を)避ける」ということ。
似たような意味に「免得〜/省得〜」がありますが、「得」があるときは、その後ろに必ず対象を付けます。
「連產地」の「連」(lián) は強調で、「産地すら」「産地までも」という意味になります。
《このニュースの用語》
菜單 (cài dān) 台湾だと外来語として「メニュー」と言っても通じます
加州 (jiā zhōu) カリフォルニア州
洛杉磯 (luò shān jī) LA、ロサンゼルス
沙拉 (shā lā) サラダ
漢堡 (hàn bǎo) ハンバーガー
薯條 (shǔ tiáo) フライドポテト
廚餘 (chú yú) 残飯