台湾のニュースで独学する中国語《台湾華語》

新聞記事を教材にして、台湾社会の「今・現在」を読みながら、初級者向けの台湾華語・台湾中国語を独学するブログです。

雑誌「BRUTUS」で注目される台南

先日、発売された日本の雑誌BRUTUS』の台湾特集「台湾で見る、買う、食べる、101のこと。」(2017年8月号)は、台湾でも話題になりました。

BRUTUS』は台湾でも知られている雑誌なのですが、表紙に使われた写真が、台湾の庶民的な街並みだったことから、「どうしてこんな写真映えしないところを!?」と、台湾のネット上で議論を呼びました。
写真が撮影されたのは、台南の「國華街」(guó huā jiē) です。

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未使用常見的台灣小吃、台北101九份等名景做為封面,反而選了充滿在地風情的台南國華街景,引起了熱烈的討論,也讓國華街再度聲名大噪。
(『BRUTUS』は、よくありがちな台湾の食べ物、台北101九份といった景勝地を表紙には使わず、あえてローカル色の強い台南國華街の景観を選んだことが、熱い議論を引き起こし、國華街に再び注目が集まることになった。)

「在地風情」は「その土地ならではの風景」といった意味。

「聲名大噪」(shēng míng dà zào) は、「名声が高く、人々の関心を集める」という意味の成語(四字熟語)。

國華街距離台南火車站騎車約5分鐘,用大眾運輸或是租輛機車來,都挺方便的。多數旅客造訪國華街,最重要的目標就是『吃』。
畢竟台南值得品嘗的小吃實在太多,不少名店就座落於國華街上。

(國華街は、台南駅からバイクで約5分、公共交通やレンタルスクーターを使っても便がいい。多数の旅行客が國華街を訪れる、もっとも重要な目的は「食」だ。
なにしろ台南には口にしてみるに値する食べ物が実に多く、たくさんの名店が國華街に位置している。)

「挺方便的」(とても便利)の「挺」(tǐng) は、「很」と同じく、形容詞の前に付いて程度を強めるのですが、「挺 __ 的」のように後方に「的」を組み合わせて使われます。

「值得〜」(zhí dé) は、動詞をともなって「〜する価値がある・意義がある」ということを表現します。
また、「不值得〜」(〜する価値はない)と、否定形にもできます。
例:「這裡有什麼值得看呢?」(ここで何か見るべきものがありますか?/ここには見たほうがいいものは何かありますか?)

台南は、台湾の "古都" ですが、「意麵」、「蚵仔煎」、「蝦捲」など数多くの美食で知られています。

晚來吃不到好料
(遅く来たら、いい料理は食べられない)

台南小吃為了配合市場供應,多數的牛肉湯店,都會在周二公休,不少老店也是休周二。
(台南の食べ物は、市場の営業に合わせて提供されるので、多くの牛肉湯の店は、火曜日が定休だ。老舗の多くも火曜に休む。)

「周二」(zhōu èr) は、「星期二」(火曜日)のこと。日曜なら「週日」。

還有一些人氣店家,往往還沒開店就已經是大排長龍。此外,許多店家雖有明確的開店時間,但都是每天『售完為止』。
(人気のある店には、開店前からすでに長い行列ができてることもしばしば。たいていの店は営業時間が決まってはいるものの、毎日「完売につき閉店」になる)

以上の文章には「多數」、「不少」、「許多」の類似表現が出てきますが、いずれも「多くの、たくさんの」という意味です。

「售完為止」(shòu wán wéi zhǐ) は「完売したら終わり」のことですが、この4文字だけだと、日本語なら貼り紙などで「完売御礼」と書いているような感じです。
もっと話し口調っぽくするなら「賣完就沒有了」という言い方もできます。

もし夜まで開いている店だったとしても、その日の分が売り切れてしまえばそれまで。
また台南には、早朝、まだ暗い時間から営業開始する有名店もあります。
台南のグルメを堪能したければ、とにかく早起きすること、それから行列に並ぶことの忍耐が必要です。

《このニュースの用語》
封面 (fēng miàn) カバー、表紙、
租 (zū) 貸し出す、レンタル
畢竟 (bì jìng) やはり、何と言っても、結局は
品嘗 (pǐn cháng) 試食する、口にしてみる
往往 (wǎng wǎng) 往往にして、しばしば
大排長龍 (dà pái cháng lóng) 長蛇の列

台湾先住民の土地をめぐる争議

台湾の各地には、「原住民」 (yuán zhù mín) と呼ばれる、漢族(中国系の民族)が渡ってくる以前からいた少数民族が多数います。
昨年、台湾の総統に就任した蔡英文 (cài yīng wén) は、少数民族を抑圧してきた歴史を、政府として謝罪しました。
今年2月、原住民の土地を保護する法律が公布されたのですが、これが新たな争議を引き起こしています。

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見出しは「原民土地劃設 引爆部落戰火」(原住民の土地区画 集落の戦火を誘発)。
傳統領域排除私地 抗爭導火線」(伝統的な境界 私有地は対象外 抗争の火種に)。

高雄茂林山區有茂林、萬山、多納三部落,萬山舊稱『歐不諾伙』,一九五七年間,政府強迫族人遷村,舊部落距離新部落步行時間至少八小時,結果傳統石板屋淹沒在荒煙蔓草中
(高雄の茂林山地には、「茂林」、「萬山」、「多納」の3集落がある。萬山は旧称を「歐不諾伙」と言い、1957年に政府は村を強制移転させた。旧集落から新集落までは徒歩で少なくとも8時間はかかる。その結果、原住民の伝統的な石積みの家は、荒地に没してしまった。)

「石板屋」というのは、原住民古来の住居で、薄い石を積み上げて作られています。
北海道にアイヌ語由来の地名があるように、台湾にも少数民族が使っていた呼称に漢字を当てた地名が多くあります。
「歐不諾伙」(ōu bù nuò huǒ) などがそれで、原住民の言葉では「オポノホ」のように読むようです。
ちなみに、数年前に世界的な賞を取って有名になった台湾のウイスキーカバラン」(葛瑪蘭)も、少数民族の名前から来ています。

萬山族人雖僅四百多人,但代代不忘『歐不諾伙』,每年舉辦尋根活動。
(萬山族はわずか四百数人しかいないが、代々「歐不諾伙」を忘れることなく、毎年、ルーツをたどる催しを開いている。)

雖 A 但 B」(A ではあるが、しかし B だ)の構文です。
これはちょっと文語的な書き方で、話し言葉なんかでは「雖然 A 可是 B」になります。

茂林に住んでいる部族は「ルカイ族」(魯凱族)とまとめられていますが、この3つの集落で使われている言語が違うのです。
実は、少数民族の呼称や区分は、政府や学者が便宜的に決めただけで、実態や原住民たち自身の認識とは食い違いがあります。

今年、原住民の土地を区画する法律が公布されましたが、伝統的な土地の境界は重なり合っていて、部族がそれぞれ自分の土地だと主張して争いになっています。
「萬山」と「多納」の両部族は、もともと川を境界線にしていたのですが、日本統治時代に、またその後に台湾政府が山を境界線に変更してしまったため、本来の領地とは入れ換わってしまいました。

また、もともと原住民の領域だった土地も、現代ではかなりの範囲が私有地になってしまっています。
180万ヘクタールあったとされている原住民の領域のうち、いまも公有地として残っているのは 80万ヘクタールだけです。
新しい法律では、原住民の土地には、開発の制限などがついて保護されていますが、すでに私有地になっているところは対象外なので、それにも原住民は抗議しています。

《このニュースの用語》
原住民 (yuán zhù mín)
傳統 (chuán tǒng) 伝統
至少 (zhì shǎo) 少なくとも、最小で、最短で
淹沒 (yān mò) 水没する
 この「沒」は否定の méi とは読み方が違います。この記事では水没ではなく、荒れ果てた地に「埋もれた」という意味。
荒煙蔓草 (huāng yān màn cǎo) 荒地、荒れ野原
 霧が立ち込めて、ツタ草が生い茂った様子。荒涼とした様を形容する。
舉辦 (jǔ bàn) パーティやイベントなどを開催する
公頃 (gōng qīng) ヘクタール

台湾の絵本作家たち

台湾の絵本作家、兄の郭漁さん、弟の良根さんの話題です。

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見出しは「兄弟合作…一個講故事一個畫畫
(兄弟合作 一人は物語を、一人は絵を)

「合作」(hé zuò) は、「いっしょに物を作る」という意味ですが、日本語の「協力」や「提携」に近いです。
例えば「ご協力ありがとうございました」は「謝謝你的合作」のように言います。
「畫畫」(huà huà) は同じ文字が続いていますが、動詞+目的語の形です。
「描く」という動詞が「畫」で、「絵画」も「畫」なので、「絵を描く」は「畫畫」になります。
話してて言いにくいときは「畫畫圖」と1文字足したりします。「畫圖」でも「絵」の意味です。

兄弟の新作絵本『嶄新的一天』(まっさらな一日)はこんな物語です。

故事一開始,小男孩做了惡夢,夢見有著老人臉的巨大嬰兒在城市裡爬行
(物語が始まるやいなや、男の子は悪い夢を見ている。老人の顔をした巨大な赤ちゃんが街を這い回っている夢だ。)

「做夢」(zuò mèng) で「夢を見る」。
「〜の夢を見る」は、「夢見〜」または「夢到〜」です。

小男孩醒來後,卻發現自己人在一間陌生的房間裡。他驚慌失措的逃出屋子
(男の子は目覚めた後、自分が見知らぬ部屋の中にいることに気づく。彼は慌てて部屋から逃げ出す)

男の子は見知らぬ家から逃げ出しますが、友達と遊んだ公園も、両親が耕していた田んぼも見あたらず、道路には巨大な獣がいます。

最後,小男孩哭著被送回陌生的房間,一位婦人喚他:『爸!你別哭了。不要再胡思亂想喔!』
原來小男孩的真實身分,竟是一位失智老人

(最後には、男の子は泣きながら見知らぬ部屋まで連れ戻される。
一人の婦人が大声で言う「お父さん! 泣かないで。もう寝ぼけないでくださいね!」
男の子の実の姿は、なんと認知症の老人だったのだ。)

つまり、この男の子は、認知症のせいで少年のころに記憶が戻ってしまった老人だったのです。
少年時代に過ごした公園や田畑もいまはなくなっていて、すっかり風景は変わってしまい、道路には巨大な獣=自動車が走り回っています。

「哭著」(kū zhe) の「著」は、動詞に付けて、その動作が継続していることを表します。

「被送回房間」は「部屋まで(誰かに)送り帰されてきた」。認知症で迷子になっていた彼を、誰かが家まで送ってくれたということでしょう。

「原來〜」(yuán lái) は、「もともと〜だった(ことに気づいた)」。
よく使われる慣用句としては「原來如此」(yuán lái rú cǐ 「そういうことだったのか、なるほど」)。
上記の文にも出てくる「竟」とも、よく組み合わせて使われます。「竟」(jìng) は「意外にも」といった意味です。
「原來竟是〜」で、「(意外と)〜だったんですね」「〜とは思わなかった」

「胡思亂想」(hú sī luàn xiǎng) は、妄想する、錯乱するという意味の四字熟語(成語)。

《このニュースの用語》
故事 (gù shì) 物語、話、エピソード
惡夢 (è mèng) 悪夢
插畫家 (chā huà jiā) 挿絵画家、イラストレータ
臉 (liǎn) 顔
爬 (pá) 這う、這い上がる、(山や坂を)登る
陌生 (mò shēng) 見知らぬ、見覚えのない
驚慌失措 (jīng huāng shī cuò) 慌てふためく

中国語でスイーツの呼び方

今回はスイーツの話題です。
スイーツの名称のほとんどは外来語で、音訳(当て字)で表現されます。
例えば「フィナンシェ」は「費南雪」(fèi nán xuě)。
「マカロン」なら「馬卡龍」(mǎ kǎ lóng)。

あくまで当て字なので、店によっては違う字を当てていることもあります。
スイーツではないですが、「チーズ」は「起司」(qǐ sī) と表記しますが、マクドナルドだと「吉事」(ji shì) という字に変えています。「チーズバーガー」は「吉事漢堡」。

逆に音訳(当て字)ではない例としては、「キャラメル」(焦糖 jiāo táng)が挙げられます。

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進入冰品銷售高峰期,麥當勞鎖定2016年人氣口味『布朗尼』,加入酸甜莓果醬推出新品
氷菓の販売ピークをむかえて、マクドナルドは去年好評だった「ブラウニー」味をもとに、甘酸っぱいイチゴジャムを加えた新製品をリリース)

「鎖定」は、固定する、すえる、狙いを定める、といった意味。
去年、好評だったサンデーのブラウニー味をベースにすえて、ジャムを加えた新作をリリースしました。
「人氣」は、日本語の「人気」から来ていて、比較的最近に普及した言いかたです。

ケンタッキー(フライドチキン)では、ティラミス風のアイスを出すなど、これからの暑い季節を迎えてアイス商戦も加熱。

台灣麥當勞今年以奶味濃醇的布朗尼為主角,結合草莓、藍莓及桑椹製成的莓果醬及巧克力醬
(台湾マクドナルドは今年、牛乳の風味が濃厚なブラウニーを主役に、苺、ブルーベリー、桑の実で作ったジャム、チョコレートソースをからめました)

以 A 為 B」(A を B とする)の構文です。
例:以 在百貨公司買的杯子 為 媽媽的生日禮物
(デパートで買ったをコップを、母の誕生プレゼントにする)

把 A 當 B」(A を B とする)でもほとんど同じです。こちらのほうが話し言葉にも近い感じがします。

《このニュースの用語》
搶客 (qiǎng kè) 集客する(客を奪う、つかまえる)
麥當勞 (mài dāng láo) マクドナルド
肯德基 (kěn dé jī) ケンタッキー(フライドチキン)

巧克力 (qiǎo kè lì) チョコレート
布朗尼 (bù lǎng ní) ブラウニー
提拉米斯 (tí lā mǐ sī) ティラミス
冰淇淋 (bīng qí lín) アイスクリーム
聖代 (shèng dài) サンデー (sundae)
慕斯 (mù sī) ムース

台湾のニュースで学ぶ中国語