台湾のニュースで独学する中国語《台湾華語》

新聞記事を教材にして、台湾社会の「今・現在」を読みながら、初級者向けの台湾華語・台湾中国語を独学するブログです。

台湾 新卒給与が16年ぶり最高水準に

昨年(2016年/民國105年)、新卒の給与が、16年ぶりに更新されたというニュースです。
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隔16年 大畢生重返28K
(16年ぶり 大学新卒28000に戻る)

成長龜速 比不上麥當勞漲價
(成長は亀の歩み マクドナルドの値上がりと比べ物にならない)

台湾では、ここ十数年、給与水準が低迷して、とくに若年層の生活苦は社会問題になっていました。
この数年は少しずつですが回復して、昨年はついに、大卒の初任給が 28,116 元と、調査史上の最高を更新。
2万8千元台だったのは、2000年(民國89年)のころで、ようやく16年前の水準まで戻ったということになります。
日本ではいわゆる「就職氷河期」から最近までを、"失われた20年" と呼んだりしますが、台湾でも同じような不景気・就職難が続いていました。

「隔」は後ろに時間(日数や年数)を付けて、その期間が開いたことを表現します。
例:「隔了三天我又找朋友」(3日開けて私はまた友人を訪ねた)

しかし、16年の間に物価は上がっています。それに比べて、所得の成長速度は遅く、「マクドナルドの値上がりのほうが早い」ので、生活がラクになった実感はないだろう、と言われています。

今年將從私立科大餐旅系畢業的吳姓學生說,到大飯店實習後發現正職員工薪資才二萬四
(今年、私立科大の観光ホテル学科をまもなく卒業する呉さんは言う。大きなホテルでの実習の後、正社員の給与はたった2万4千元しかないことを知りました)

「科大」は、「科技大學(kē jì dà xué)」という、台湾の学校カテゴリの一種です。
日本で言うと、専門学校や工業大学のような、職業訓練に直結した学科が多く、かつては「技術学院」という分類でしたが、その後の教育制度の改変で「科技大」になりました。

「餐旅系 (cān lǚ xì)」。「系」は学校の学科や専攻のこと。日本語学科なら「日文系」。
「餐旅系」は、ホテル、旅行、飲食サービスなど、レジャー分野を学ぶ学科です。

「吳姓學生」は、「呉という姓の学生」という意味。報道などで氏名を明記しないときにしばしば使われます。

「才」にはたくさんの用法がありますが、ここでは「たった」「わずか」の意味。

除了每月須還學費貸約五千元,扣除在外租房,交通費,伙食費,幾乎所剩無幾,畢業看不到前景,只剩下錢『頸』,兩萬多元過生活,到處是瓶頸。
(毎月返さなければならない学費ローンの約5千元以外に、家賃、交通費、食費を差し引けば、ほとんど何も残らない。卒業しても前途は見えず、ただ残っているのはお金の問題だけ。2万元余りで送る生活は、いたるところ障害だらけだ)

「除了」「...を除いて」。
後に「以外」を付けて「除了...以外」という形もよく使われます。

「須還」(必ず返さなければならない)
「須」は必須、〜すべきの意味で、動詞の前に付けますが、これはけっこう文語体です。

「幾乎所剩無幾」(ほとんど何も残らない)
「所剩無幾 (suǒ shèng wújǐ)」で成語(四字熟語)なので、そのまま覚えてしまいましょう。読み下し文にすれば「残すところいくつも無い」。

「到處」は「いたるところ」「あちこち」「そこらじゅう」。
「瓶頸」は「ビンの首」つまりボトルネックのこと。

「看不到前景,只剩下錢頸」
「錢頸 (qián jǐng)」はそのすぐ後に出てくる「瓶頸」(ボトルネック)とつながって「金銭の障害」を指す造語ですが、その前にある「前景 (qián jǐng)」と読みが同じ。つまり脚韻を踏んでいるわけです。

台湾の大卒初任給は、2万8千元を超えましたが、大卒以外は次のようになっています。
高卒 23,380元、専門学校卒 25,198元、院卒 33,313元。
職種別の初任給ランクでは、トップは金融・保険業(31,059元)。次が電力・エネルギー分野(29,982元)。続いて、医療関連(29,680元)。
高給職は世界共通のようです。

《このニュースの用語》
畢業(bì yè) 卒業
「大学を卒業する」は「大學畢業」です。「畢業大學」と誤りがちなので要注意。

煩惱(fán nǎo) 悩む
比不上(bǐ bù shàng) 比較にならない、比ぶべくもない、敵わない
發現(fā xiàn)気づく
薪資(xīn zī)薪水(xīnshuǐ) 給与
起薪(qǐ xīn) 初任給 (「起」は開始、起点を表す)
幾乎(jī hū) ほとんど
扣除(kòu chú) 差し引く、控除する
新鮮人(xīn xiān rén) 新人、新卒、新社会人

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